引越し用トラックの今
引越し用トラックの大きさと価格、重い荷物対策:種類・用途・パワーゲートの全て
引越しを円滑かつ効率的に行うために不可欠なのがトラックです。その選定基準は、運ぶ荷物の量や種類、予算によって大きく変わります。ここでは、引越しに使われるトラックの主要な種類、新車・中古の価格相場、そして重い荷物を扱うための必須装備「パワーゲート」の詳細について解説します。
1. 引越し用トラックの主要な種類と積載量の目安
引越し業者が使用するトラックは、主に「小型」「中型」に大別され、積載量(〇トン)で区分されます。
トラックのサイズ | 積載量(目安) | 荷物量・用途の目安 | 運転に必要な免許(※) |
軽トラック | 約350kg | 単身者、少量引越し、自力引越し | 普通自動車免許 |
2トントラック | 1.5~2.0トン | 1R~2DK程度の単身・二人暮らし | 準中型免許(5t限定可) |
3トントラック | 3.0トン前後 | 2LDK~3LDK程度の家族引越し | 準中型免許 |
4トントラック | 4.0トン前後 | 3LDK以上の家族、荷物が多い長距離引越し | 中型免許(8t限定可) |
※2007年6月以降に取得した普通免許では、2トントラックでも運転できない車種が増えているため注意が必要です。
引越しに使われるトラックの荷台は、荷物を雨風や振動から守るために、側面と天井が箱状になった「アルミバン」タイプが最も一般的です。
2. トラックの価格相場(新車・中古)
トラックの購入価格は、車両サイズ、製造メーカー、そして搭載される装備によって大きく変動します。
A. 2トントラック(小型)の相場
状態 | 価格相場(目安) | 留意点 |
新車 | 約250万円~370万円 | エンジンやキャビン(運転席)の仕様、ロングボディかなどで価格が変動します。 |
中古車 | 約80万円~250万円 | 状態や走行距離(10万km以下か)、アルミバンなどの「架装」の有無で幅が出ます。 |
2トントラックは、都市部での小回りが利き、維持費も比較的安いため、引越し業者にとって最も使用頻度の高いサイズの一つです。
B. 4トントラック(中型)の相場
状態 | 価格相場(目安) | 留意点 |
新車 | 約1,000万円~1,500万円 | アルミバンの架装費用を含め、トラック本体価格が小型車よりも大幅に高くなります。 |
中古車 | 約200万円~800万円 | 年式が新しく、かつ特殊な架装(例:冷凍冷蔵機能)が付いていると高値になります。 |
4トントラックは、長距離輸送や大規模な引越しに対応できる積載能力を持つため、事業用としての投資額も大きくなります。
3. 重い荷物対策の必須装備:パワーゲートとその費用
引越し作業の効率と安全性を劇的に向上させるのが、トラックの必須装備である「パワーゲート」(別名:テールゲートリフター)です。
パワーゲートとは
これはトラックの荷台後端に取り付けられた昇降装置であり、油圧の力で重い荷物(大型冷蔵庫、ピアノ、コピー機など)を人力を使わずに地面から荷台の高さまで上げ下げできます。
【パワーゲートの種類と価格】
パワーゲートには、主に荷台と垂直に昇降する「垂直式」と、斜めにも動きプラットホームのような働きをする「アーム式」があります。
種類 | 特徴 | 新車時の架装費用(目安) |
垂直式ゲート | 構造がシンプルで比較的安価。揺れが少なく転がりやすい荷物向き。 | 約50万円~80万円 |
アーム式ゲート | 機能が豊富で高機能。価格は高め。 | 約100万円~130万円 |
パワーゲートがトラック価格に与える影響
パワーゲートは引越しや配送業において極めて重要度が高いため、装備されているかどうかでトラックの市場価格は大きく変わります。
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新車価格の上昇: トラック本体価格に、上記のような架装費用がまるごと上乗せされます。
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中古車での高付加価値: 中古市場では、同じ年式・走行距離の非搭載車と比較して、数十万円〜100万円以上高値で取引されることが一般的です。需要が高く、すぐにでも業務に使用できる即戦力となるためです。
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後付けの費用: 非搭載車を購入し後からパワーゲートを後付けする場合、装置本体代に加えて、取り付け工賃、さらに車両の構造が変更されたことによる構造変更手続き費用などがかかり、総額で約80万円~150万円程度の費用が発生します。このため、最初から装備された車両を探す方が効率的とされることが多いです。
4. まとめ:トラックと物流の未来
引越し用トラックの価格は、単なる鉄の塊の価値ではなく、**「どれだけ安全に、速く、効率的に運べるか」**という利便性、すなわち「機能」の対価です。パワーゲートはその代表例であり、トラックの価格決定における重要な要素となっています。
現代のトラック生産は、ドライバー不足や環境問題といった社会課題に対応するため、電動化(EVトラック)や自動運転技術の搭載など、さらなる進化を続けています。これらの次世代技術が導入されたトラックは、初期投資コストが増加する一方で、長期的な燃料費やメンテナンスコストの削減、そして安全性の向上に寄与することが期待されており、今後もトラック市場は、技術革新と共に価格帯も変化していくでしょう。
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