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空き家バンクの登録方法とメリット・デメリット

空き家バンクは、空き家を「売りたい・貸したい所有者」と「買いたい・借りたい利用者」を自治体が仲介(情報提供)する制度です。具体的な手続きの流れは市町村によって異なりますが、一般的な所有者側の登録手順があります。

 

空き家バンクへの一般的な登録手順(所有者向け)

 

空き家を登録して買い手や借り手を探す場合、以下の手順で進めます。

手順 内容 ポイント
Step 1: 事前相談と申請書類の準備 空き家がある市町村の担当窓口(都市計画課、住宅政策課、定住対策室など)に電話や窓口で相談します。 【重要】 まずは窓口に連絡し、その市町村の制度や登録要件を確認しましょう。
Step 2: 登録申込書の提出 以下の書類を揃えて自治体に提出します。 【主な必要書類】 ・空き家バンク登録申込書 ・物件の概要や写真(間取り図、外観・内観) ・所有者であることを証明する書類(登記事項証明書など)
Step 3: 現地調査と審査 自治体の職員や、自治体が委託した専門家(不動産業者、建築士など)が、物件の状況を確認するために現地調査を行います。 【所有者の立ち会いが必要】 建物の老朽度や、登録条件(再利用が可能かなど)に合致しているかが審査されます。
Step 4: 媒介業者の選定と契約 自治体と不動産業者の連携状況により、対応が分かれます。 a. 自治体が仲介:自治体が所有者と利用希望者をつなぎます(契約交渉には関与しない場合が多い)。 b. 不動産業者が仲介:自治体が提携する不動産業者(媒介業者)を紹介され、その業者と売買・賃貸の媒介契約を結びます。 愛知県内の多くの自治体は、不動産業者による仲介を推奨・義務付けています。
Step 5: 情報公開(登録完了) 審査が完了し、必要な契約が結ばれた後、空き家バンクのホームページや窓口で物件情報が公開されます。 この段階で、利用希望者からの問い合わせを待ちます。
Step 6: 交渉・契約 利用希望者からの連絡があれば、不動産業者を通じて、または所有者自身で、価格や賃貸条件などの交渉を進めます。 契約手続きには、不動産業者が仲介する場合と、当事者間で進める場合があります。

 

 

空き家バンク登録の【メリット】✨

 

空き家バンクは、特に市場での売却が難しい物件の所有者にとって大きな利点があります。

 

1. 費用の低さ・無料掲載

 

  • 無料で情報公開が可能: 一般的な不動産会社に仲介を依頼する場合、物件の広告費用や活動費が間接的にかかることがありますが、空き家バンクの情報掲載自体は無料です。

  • 仲介手数料の節約(※ケースバイケース): 自治体によっては、売買や賃貸の交渉・契約に不動産仲介業者が関与しない(当事者間での直接交渉を前提とする)場合があります。この場合、仲介手数料が発生しないため、コストを大幅に節約できます。

    • ただし、愛知県内の多くの自治体は、トラブル防止のため提携の不動産業者による仲介を推奨しており、その場合は通常の仲介手数料が発生します。

 

2. 補助金による購入者へのインセンティブ

 

  • 買い手が見つかりやすい: 空き家バンクに登録された物件は、購入者や賃借人がリフォームや改修を行う際に、自治体独自の補助金制度(例:日進市の定住促進リフォーム補助金など)の対象となることが多いです。

  • 築古物件のネック解消: これにより、物件が古いために必要なリフォーム費用の負担が軽減されるため、築年数が経過した物件でも買い手がつきやすくなります。

 

3. 社会貢献と地域課題の解決

 

  • 地域貢献への意識が高い層とマッチング: 空き家バンクは、その地域への移住・定住を強く希望し、古民家や田舎暮らしに魅力を感じる層が積極的に利用します。

  • 利用後の安定性: 地域コミュニティへの参加意識が高い人とのマッチングが期待できるため、利用後の近隣トラブル発生リスクが低く、物件が再び空き家になるのを防ぐ効果もあります。


 

空き家バンク登録の【デメリット】と注意点 ⚠️

 

空き家バンクは万能ではありません。一般の不動産市場と比べていくつかの課題があります。

 

1. 成約までの時間と交渉の負担

 

  • 時間がかかる可能性: 不動産ポータルサイトと比べると、空き家バンクの認知度は低く、利用者の絶対数が少ないため、買い手が見つかるまでに時間がかかる傾向があります。

  • 交渉と契約の負担(仲介業者がいない場合): 仲介業者が関与しない場合、価格交渉、契約書の作成、引き渡し時のトラブル対応など、専門的な手続きや責任を所有者自身が負わなければなりません

 

2. 公開情報の限定と物件の特性

 

  • 物件情報が少ない: 防犯やプライバシー保護のため、空き家バンクで公開される情報は、住所の番地、所有者名、詳細な内部写真などが意図的に制限される場合があります。

  • 現地確認が必須: 買い手・借り手は公開情報だけでは判断できず、必ず現地に足を運んで確認する必要があります。この手間が、購入希望者の離脱につながることもあります。

  • 物件の状態: 一般の不動産会社が敬遠する、築年数が非常に古い、リフォーム前提、立地が悪いなどの物件も多いため、利用希望者もその前提で探していることが多く、一般的な市場価格での売却は期待できません。

 

3. 自治体による対応の差

 

  • 自治体の力の入れ具合に依存: 空き家バンクの運営体制は市町村によって大きく異なります。職員が情報公開や問い合わせ対応に割けるリソースが限られている場合、情報更新が遅れたり、サポートが十分でなかったりすることがあります。

  • 法的な仲介はしない: 自治体はあくまで「情報提供」が主な役割です。法的な責任を負って売買契約を成立させる「仲介行為」はできません。契約トラブルが発生した場合、自治体は関与せず、当事者間で解決する必要があります。

空き家バンクは、**「時間をかけてでも、地域に貢献したい人に安価で譲りたい・貸したい」**と考える所有者に適した制度です。すぐに売却したい場合や、物件の状態が良く市場価値が高い場合は、まず通常の不動産会社に相談する方が迅速な解決につながります。

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